親が外出先から戻れない…行方不明に備えて家族ができる準備と当日の動き
高齢の親が出かけたまま戻らない。そんな連絡が入ったとき、家族は何から動けばよいのでしょうか。事前にできる備えと、当日の連絡先・手分けの段取りを、遠方に住む家族の視点で整理しました。

「親が朝から出かけたまま、夕方になっても帰ってこない」。離れて暮らしていると、こうした連絡は突然入ってきます。数時間で無事に見つかることもあれば、思いがけず遠くまで足を延ばしていることもあります。慌てているときほど、どこに連絡すればよいのか、自分は何をすればよいのかが分からなくなりがちです。
ここでは、起きる前にしておける準備と、起きてしまった当日の動き方を分けて整理します。すぐに駆けつけられない距離に住む家族が何をできるか、という視点でまとめました。
元気なうちにしておける「事前の備え」
備えの多くは、特別な機械を買わなくてもできるものです。優先度の高いものから並べます。
1. 身につけるものに連絡先を入れておく
見つけてくれた人が最初に困るのは「どこの誰か分からない」ことです。財布や定期入れ、上着のポケットなどに、名前と家族の携帯番号を書いた小さなカードを入れておくだけでも違います。靴やかばん、杖、帽子といった「よく使うもの」に名前を書いておく方法もあります。
本人が抵抗を感じることもあるので、「万一のときに助けてもらいやすいように」という伝え方で、押しつけずに相談するのがよいと思います。衣類につけられるお名前シールも市販されています。
2. 自治体の見守り・事前登録のしくみを確認する
多くの市区町村では、外出して戻れなくなる心配がある高齢者について、あらかじめ特徴や写真などを登録しておく制度や、警察・交通機関・地域の事業者と連携して探す「見守りネットワーク」のような取り組みがあります。名称や登録の要件、対象になる条件は自治体によってかなり違うため、実家のある市区町村の窓口か地域包括支援センターに確認してください。
遠方の家族が電話で内容だけ先に確認しておき、帰省したときにまとめて手続きする、という進め方もできます。
3. 直近の顔写真を家族で共有しておく
探してもらうときには、最近の顔立ちと服装が分かる写真が役に立ちます。正面から顔がはっきり写った1枚を、きょうだいや配偶者とスマホで共有しておきます。合わせて、身長のおおよその目安、眼鏡や補聴器の有無、よく着ている上着の色などをメモにしておくと、いざというときに伝えやすくなります。
4. GPS・見守り機器を検討する
靴の中敷きに入れる小型のGPS端末、キーホルダー型の端末、携帯電話会社の位置情報サービスなど、選択肢はいくつかあります。費用は端末代のほかに月額の通信料がかかるものが多く、月額数百円〜千数百円程度が一つの目安ですが、機種やプランによって差があります。自治体によっては、こうした端末の貸し出しや購入費の助成を行っているところもあります。
ただ、機器は「本人が持って出てくれること」が前提です。かばんに入れる方式だと、そのかばんを持たずに出てしまえば意味がありません。靴や衣類など、外出時に必ず身につけるものに仕込めるかどうかで選ぶと現実的です。
5. ご近所と「顔つなぎ」をしておく
最初に気づいてくれるのは、近所の方であることが多いです。帰省したときに両隣や向かいのお宅にあいさつし、自分の携帯番号を渡しておく。それだけで「お母さん、さっき駅の方へ歩いていったけど大丈夫?」という一報が入るようになります。日常の見守りの土台は、機械よりもこの部分にあります。
戻らないと分かったときの当日の動き
まず自宅と周辺を確認する
近くにいる家族がいれば、家の中(トイレ、浴室、物置、庭、車庫)と、いつも行く場所(近所のスーパー、かかりつけの医院、以前住んでいた家、お墓、畑など)を先に確認します。本人にとって馴染みのある場所に向かっていることが少なくありません。財布・鍵・靴・上着のうち何がなくなっているかを見れば、どんな格好で出たのかが分かります。
ためらわずに警察へ相談する
「大げさではないか」と迷う方は多いのですが、高齢の方が戻らない場合は早い段階で警察に相談してよい、と考えてよいと思います。行方不明者届は最寄りの警察署や交番で出せますし、急を要するときは110番でも構いません。夏や冬は屋外にいる時間そのものが体に負担になるため、時間が経つほど条件は厳しくなります。
相談のときには、名前・年齢・生年月日、身長や体格、着ていた服装、履いていた靴、持ち物、いなくなった時刻と場所、立ち寄りそうな場所、直近の顔写真、といった情報を求められます。前もって備えのメモを作っておくと、この場面で慌てずに済みます。
手分けの段取りを決める
家族が複数いる場合は、役割を分けたほうが早く進みます。
- 1人は実家に残って、電話と来訪の対応をする(見つけた人からの連絡先になる)
- 1人は車や自転車で心当たりの場所をまわる
- 遠方の家族は、親戚・ご近所・かかりつけの医院やケアマネジャーへの連絡を電話で担当する
- 連絡は家族のグループチャットに集約し、「どこを確認済みか」を書き残していく
遠方にいると「何もできない」と感じがちですが、電話をかける役と情報をまとめる役は、離れていてもできます。むしろ現地で動いている人は手が離せないので、この分担は実際にとても助かります。
見つかったあとに考えたいこと
無事に見つかったあとは、まず本人を責めないことだと思います。とがめられると外出そのものを隠すようになり、かえって把握しにくくなることがあります。落ち着いてから、ケアマネジャーがついていれば状況を共有し、まだ介護保険を使っていなければ地域包括支援センターへ相談してみてください。体調面で気になることがあれば、かかりつけの医師に相談するのが確実です。
実際に動くときの相談先
記事を読んで「うちの場合はどうするか」まで進むと、次は実務の相談先が必要になります。実家ノートを運営しているエムズグループでは、愛知・岐阜・三重で次のサービスを行っています。
- エムズ高齢者サポート ── 名古屋市とその周辺で、見守り・通院の付き添い・買い物・書類の整理などを、月額会員制で継続してお手伝い
- 便利屋エムズ ── 家財の片づけ、不用品の搬出、家具の移動など、作業ごとのご依頼
どちらに頼めばよいか決まっていない段階でも構いません。エムズグループの相談窓口で内容を伺い、担当をご案内します。
本記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、医療・法律・税務・不動産取引などの個別の判断に関する助言ではありません。制度・費用は地域や時期により異なります。実際のご判断は、自治体および各分野の専門家にご相談ください。