親が住んでいた賃貸の部屋、退去までに片付けが終わらない…進め方と費用の目安
親が住んでいた賃貸は、退去日までに部屋を空にしなければなりません。解約予告や鍵の返却など先に確認したいこと、限られた日数での片付けの順番、業者に頼むときの費用の目安と見積もりの見方、原状回復の考え方までを整理しました。

親が施設に入ることになった、あるいは亡くなった。持ち家ではなく賃貸だった場合、実家の片付けには「明け渡しの期限」という時間の壁がつきます。持ち家なら「今月は無理だから来月に」と延ばせますが、賃貸は家賃が発生し続けるうえ、退去日までに部屋を空にしなければなりません。遠方に住んでいて週末しか動けない家族にとっては、ここが一番の負担になります。期限から逆算した進め方と、費用の考え方を整理します。
まず確認するのは「いつまでに明け渡すか」
片付けの計画は、荷物の量ではなく期限から決まります。手を動かす前に、次の点を賃貸借契約書と管理会社で確認しておきます。
- 解約の申し入れは何か月前までか(1か月前とする契約が多いものの、契約によって異なります)
- 解約日と明け渡し日はいつになるか。日割り精算はあるか
- 敷金の精算はいつ、どのように行われるか
- 返却する鍵の本数(部屋のほか、郵便受け・駐輪場・物置・オートロックのカードキーなど)
- 公営住宅・UR・社宅の場合は独自の手続きがあるため、管理事務所や担当部署に確認する
親が亡くなった場合は、片付けの前に一度立ち止まる
借主が亡くなると、賃貸借契約は相続人に引き継がれ、解約手続きも相続人が行うことになります。ここで注意したいのが、相続放棄を検討している場合です。故人の家財を処分したり売却したりすると、相続を承認したとみなされる可能性があると言われています。借金の有無がはっきりしないうちは、独断で処分を進めず、弁護士・司法書士や家庭裁判所の窓口に先に相談してください。連帯保証人や家賃保証会社が関わる場合も、扱いは契約によって変わります。
限られた日数での片付けの進め方
1日目は「探す日」にあてる
いきなり物を捨て始めると、後から必要な書類が出てこなくなります。最初の半日から1日は、捨てずに「探す」ことだけに使うのが結果的に早道です。
- 賃貸借契約書、火災保険(家財保険)の証券、保証委託契約の書類
- 通帳・印鑑・年金や医療保険の書類・未払いの請求書
- 鍵一式(管理会社に返す本数と照らし合わせる)
- 借り物。介護保険でレンタルしているベッドや手すり、ケーブルテレビのチューナー、ウォーターサーバーなどは、返却先への連絡が必要です
次に「持ち帰る物」だけを抜く
写真、位牌、思い入れのある品など、持ち帰る物を先に別の部屋や車に移してしまいます。残った物は原則すべて処分対象、と決めてしまうほうが判断が早く進みます。迷った物だけを段ボール1〜2箱にまとめ、期限を決めて後日考える方法もよく使われます。
残りは処分ルートで仕分ける
- 自治体の粗大ごみ収集(申し込みから収集まで日数がかかることがあるため、退去日から逆算して早めに予約)
- エアコン・テレビ・冷蔵庫・洗濯機は家電リサイクル法の対象で、粗大ごみには出せません
- まだ使える家具・家電は買取や譲渡も選択肢
- 日数が足りないときは、まとめて業者に依頼する
費用の目安と、見積もりで確認したいこと
部屋の片付けを業者に頼む場合、ワンルーム・1Kで数万円程度から、2DK・2LDK規模になると十数万円から二十数万円程度が一つの目安として案内されることが多いようです。ただしこれはあくまで目安で、荷物の量、階数とエレベーターの有無、トラックを停められる場所までの距離、作業日が繁忙期かどうかで大きく変わります。金額だけで比べず、次の点を見積書で確認してください。
- 見積もりは書面で出るか。追加料金が発生する条件が明記されているか
- 階段作業費、駐車料金、遠方の処分場までの運搬費などが含まれているか
- 廃棄物の処分をどのルートで行うか(一般廃棄物の収集運搬は自治体の許可が必要です)
- 買取がある場合、買取額と作業費が明細で分かれているか
- 立ち会いは必要か。遠方で立ち会えない場合の進め方
原状回復はどこからが借主負担か
退去時の精算でもめやすいのが原状回復です。国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、経年変化や通常の使用による損耗は原則として貸主の負担、借主の不注意や通常でない使い方による損傷は借主の負担、という考え方が示されています。ただし契約書の特約によって扱いが異なる場合があるため、精算書が届いたら契約書と照らし合わせ、納得できない項目は管理会社に説明を求めましょう。判断に迷うときは、自治体の消費生活センターに相談する方法もあります。
意外と忘れやすいもの
- 駐車場・駐輪場が別契約になっていないか
- 火災保険(家財保険)の解約手続き。契約内容によっては返戻金があります
- 電気・ガス・水道の停止(ガスは立ち会いが必要なことがあります)
- 郵便物の転送届と、新聞・宅配・定期購入の停止
- ベランダ、玄関前、共用の物置に置いた私物
- 町内会や自治会への連絡
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本記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、医療・法律・税務・不動産取引などの個別の判断に関する助言ではありません。制度・費用は地域や時期により異なります。実際のご判断は、自治体および各分野の専門家にご相談ください。