空き家になった実家の固定電話・ネット回線・NHK・新聞、どう止める?解約と休止の違い
誰も住まなくなった実家には、電気・ガス・水道のほかにも止め忘れやすい契約が残ります。固定電話の「解約・利用休止・一時中断」の違い、ネット回線の撤去工事と解約金、NHKの放送受信契約、新聞や警備の扱いを、公的機関や各社が公表している情報をもとに整理しました。

実家に誰も住まなくなったとき、多くの方が電気・ガス・水道までは手を打ちます。ところが、そのあとに残るのが固定電話・インターネット回線・NHKの放送受信契約・新聞といった「毎月少しずつ引き落とされ続ける契約」です。金額が小さいぶん気づきにくく、一年、二年とそのままになっていることが珍しくありません。
やっかいなのは、これらは止め方がそれぞれ違うことです。電気やガスのように「一本電話すれば終わり」ではなく、固定電話なら解約か休止かで将来の選択肢が変わり、ネット回線なら撤去工事が必要になることがあり、NHKは条件に当てはまらないと解約できません。この記事では、実家が空き家になったときに残りやすい契約を、公的機関や各社が公表している情報をもとに整理します。
まず「何と契約しているか」を全部出す
止める作業より先にやることは、契約の洗い出しです。親御さん本人に聞いても「もう覚えていない」ということは多く、記憶に頼ると必ず取りこぼします。紙とお金の流れから逆算するのが確実です。
通帳とクレジットカードの明細を一年分見る
いちばん確実なのが、口座の引き落としとカードの明細です。一年分をさかのぼると、年払いの契約(新聞の前払い、保守契約、ドメインやセキュリティソフトなど)まで拾えます。少額でも「毎月同じ日に同じ金額」が出ていれば、それは何かの契約です。事業者名がわからない略称で記載されていることもあるので、その場合は金融機関に問い合わせると引き落とし元を教えてもらえることがあります。
郵便物・検針票・請求書から拾う
郵便受けに溜まっている封筒も手がかりの塊です。請求書、契約更新の案内、キャンペーンのはがき。差出人の社名をメモしていくだけで、契約先の一覧ができあがります。
家の中の「機器」からも逆算する
壁のモジュラージャック、電話機、ルーター、光回線の終端装置、テレビのアンテナ線、ケーブルテレビのチューナー、玄関の警備会社のステッカー。機器があるということは、その裏に契約があるということです。ルーターや終端装置に貼られたシールには事業者名や回線の種類が書かれていることが多く、これが手がかりになります。

固定電話は「解約」「利用休止」「一時中断」で結果が変わる
固定電話(NTT東日本・西日本の加入電話)には、やめ方が一つではありません。名前が似ていて紛らわしいのですが、結果がまるで違います。
| 解約 | 利用休止 | 一時中断 | |
|---|---|---|---|
| どういう状態か | 契約そのものを終わらせる | いったん預けて、あとで再開できる | 再開を申し出るまで止めておく |
| 期間 | ― | NTT東日本は5年間(5年単位で更新可)。NTT西日本は最長10年(5年ごとに継続手続き) | 再開を申し出るまで |
| 休止・停止の工事費 | ― | 3,300円程度 | 3,300円程度 |
| 休んでいる間の費用 | かからない | 回線使用料はかからない | 基本料はかかり続ける |
| 電話番号 | 戻らない。必要になれば新規契約 | 再開のときに番号は変わる | 原則そのまま(場所が変わると変わることがある) |
金額や期間は、NTT東日本・西日本がそれぞれ案内している内容をもとにした目安です。東西で条件が違い、契約の種類(光回線の電話か、従来の加入電話か)によっても変わります。光回線の電話を戸建てで解約する場合は、撤去工事に2万円台の費用がかかる案内も出ています。実際にいくらかかるかは、必ず契約している会社に確認してください。
選び方の目安
- 家を売る・解体することが決まっている──解約でよいことが多い。番号を残す理由がないためです
- 売るか貸すか決めていない/きょうだいで結論が出ていない──利用休止にしておくと、月々の費用をかけずに数年間の猶予が作れます
- 親が施設に入ったが、家をどうするかは先送り──同じく休止が無難です。ただし再開時に番号が変わる点は理解しておく必要があります
- すぐ戻る見込みがある(入院など)──番号を残したいなら一時中断ですが、基本料は払い続けます
なお、電話番号そのものに強い思い入れがある場合(長く商売をしていた実家など)は、休止すると番号が変わることを先に家族で共有しておいてください。あとから「あの番号に戻したい」と言われても戻せません。
インターネット回線は「撤去工事」と「解約金」を先に確認する
光回線は、解約の申し出をした日で終わりではありません。建物から設備を外す撤去工事が必要になる場合があり、その日程を押さえないと課金が続くことがあります。集合住宅か戸建てか、どの事業者かで扱いが変わるため、まず「撤去工事がいるのか、いらないのか」を確認するのが先です。工事に立ち会いが必要なら、帰省の日程と合わせる必要も出てきます。
2022年7月の法改正で変わったこと
解約金については、総務省が示している消費者保護ルールが2022年7月1日に施行され、月額利用料を超える違約金の請求、契約期間満了後の工事費残債・撤去費の請求、契約解除手数料の請求などが禁止されました。つまり、以前のような高額な違約金は現在の契約では想定されにくくなっています。ただし、これは施行後のルールです。実家の回線が何年も前から続いているものだと、古い条件が残っている可能性があります。請求書や会員ページで、契約の開始時期と解約条件を確認してください。
あわせて、契約書面を受け取ってから8日以内であれば事業者の合意なしに解約できる「初期契約解除制度」もあります。これは、親御さんが訪問や電話の勧誘で最近契約させられていた場合に効いてくる制度です。
レンタル機器の返却
ルーター、光回線の終端装置、ケーブルテレビのチューナー、ひかり電話の機器。レンタル品を返さないと、機器相当額を請求されることがあります。家の中の機器は、解約の連絡をする前にひととおり写真を撮っておくと、電話口で「何を使っているか」を聞かれたときに答えられて手戻りが減ります。返却用の伝票が郵送で届く形式が多いので、実家の郵便物の転送設定を先に済ませておくと受け取りそこねません。
NHKの放送受信契約は「誰も住まなくなる」なら解約できる
NHKの放送受信契約は、条件に当てはまれば解約できます。NHKが案内している解約の事由には、受信契約を結んでいる住居に誰も居住しなくなる場合、廃棄や故障などで受信契約の対象となる受信機がすべてなくなった場合、NHKの配信の受信を終了した場合が挙げられています。実家が空き家になるケースは、このうち一つ目に当てはまることになります。
手続きは、NHKふれあいセンター(営業)へ電話するか、所定の届出書を提出する方法が案内されています。ホームページからの手続きは世帯同居による解約に限られており、この場合は必要事項を入力したあとNHKから確認書が郵送され、署名・捺印して返送する流れになります。契約者名・住所・いつから誰も住まなくなるのかといった情報を手元にそろえてから連絡すると一度で済みます。
注意したいのは、テレビを実家に残したまま「誰も住んでいないから」と自己判断で支払いを止めてしまうことです。手続きをしていなければ契約は続いている扱いになります。片付けでテレビを処分したのであれば、処分した日がわかるもの(リサイクル券の控えなど)を残しておくと説明がしやすくなります。
新聞・ケーブルテレビ・警備・定期購入も残りやすい
ここから先は、会社ごとに扱いが違うので一律には言えません。共通しているのは「こちらから言わないと止まらない」という点です。
- 新聞──配達している販売店に直接連絡します。前払いしている分の扱いや、景品を受け取っている場合の精算は販売店の方針によるため、確認が必要です
- ケーブルテレビ──チューナーやセットトップボックスの返却、宅内設備の撤去工事が絡むことがあります
- ホームセキュリティ(警備)──空き家になるからこそ続けたいという判断もあります。契約期間の途中解約に条件がある場合があるので、続けるか止めるかを先に決めてから連絡します
- 定期購入──健康食品、水、サプリメント、通販の定期便。届け先が実家のままだと、誰もいない家に商品が届き続けます
- 携帯電話──親御さんが施設に入る場合、番号を残すか解約するかは本人確認の手段にも関わります。慌てて解約しない方がよい場合があります
止める前に「止めると困ること」を確認する
手続きを急ぐ前に、一度立ち止まって確認したい点があります。実際に困りやすいのは次のようなところです。
- 電話番号が本人確認に使われている──銀行、証券、保険、公共料金の手続きで、登録されている固定電話にかかってくることがあります。相続の手続きが残っているうちは、番号を急いで消さないほうが無難です
- 緊急通報や見守り機器が電話回線に乗っている──自治体の緊急通報装置や、警備会社の機器が固定電話を使っていることがあります。回線を止めると同時に機器も使えなくなります
- プロバイダのメールアドレス──回線を解約するとメールアドレスも使えなくなることがあります。そのアドレスで登録しているサービスがないか、先に確認します
- 空き家の管理にネット回線を使う予定がないか──見守りカメラを置く、換気の様子を確認する、といった使い方をするなら回線は残す判断もあります
進める順番の目安
- 通帳・カード明細・郵便物から契約を洗い出し、一覧にする
- 郵便物の転送を先に手配する(解約に必要な書類が届くため)
- 「続ける」「止める」「保留」に仕分けする
- 止めるものについて、解約金・撤去工事・返却物の有無を各社に確認する
- 立ち会いや工事が必要なものを、実家に行ける日にまとめる
- 止めたあと、翌月・翌々月の引き落としが実際に止まっているかを通帳で確かめる
最後の確認はとくに忘れがちです。「連絡したから終わり」ではなく、口座から落ちなくなって初めて完了と考えてください。手続きの控えや受付番号は、一つのファイルにまとめておくと、あとで家族に説明するときに役立ちます。
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本記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、医療・法律・税務・不動産取引などの個別の判断に関する助言ではありません。制度・費用は地域や時期により異なります。実際のご判断は、自治体および各分野の専門家にご相談ください。