実家ノートJikka Note
見守り・介護準備

親がデイサービスを嫌がる…どう誘う?断られたときに試したいこと

「デイサービスに行かない」と言う親。その一言の中身は、必要性を認めたくない気持ち、知らない場所への不安、費用の心配などに分かれます。理由別の声かけの変え方と、それでも断られたときの代わりの選択肢を整理しました。

杖をついた高齢の父と住宅街を歩く家族

「週に一度でも外に出てくれたら」「家に閉じこもりきりで心配」。そう思ってデイサービス(通所介護)を勧めたのに、親から返ってきたのは「行かない」の一言。そんな経験をされたご家族は、決して少なくありません。

ここで押し切ってしまうと、その後もっと話が通らなくなることがあります。まずは「なぜ嫌なのか」を一度分けて考えてみると、次の一手が見えてきます。

「行かない」の中身を分けて考える

同じ「行かない」でも、理由はいくつかに分かれます。理由が違えば、効く声かけも変わります。

まだ自分には必要ないと思っている

もっとも多いのがこれです。デイサービスを「介護が必要になった人が行くところ」と受け取っていて、そこに自分を当てはめたくない、という気持ちです。本人にとっては、行く・行かないの話ではなく「自分はまだ大丈夫だ」という自負の話になっています。

この段階で「もう歳なんだから」「一人じゃ危ないでしょう」と言ってしまうと、反発だけが残りがちです。

知らない場所・知らない人が不安

どんな建物で、誰がいて、何をして、何時に帰れるのか。何も分からないまま「行ってみたら」と言われても、腰が重くなるのは自然なことです。特に人見知りの方や、耳が聞こえにくくなってきた方は、集団の場そのものに不安を感じることがあります。

お金の心配を口に出せていない

「行かない」の裏に、費用の不安が隠れていることもあります。年金の範囲でやりくりしている方ほど、はっきり口には出さず「必要ない」という言い方になりがちです。

デイサービスは介護保険のサービスなので、要介護認定を受けていれば自己負担は原則1〜3割です。それに加えて食費やおやつ代、入浴やレクリエーションの実費などがかかります。地域や事業所、利用時間、要介護度によって幅がありますが、1回あたり数百円〜千数百円程度に食費などが加わるイメージで説明されることが多いようです。あくまで目安なので、実際の金額はケアマネジャーや事業所に見積もりを出してもらうのが確実です。

家族に迷惑をかけたくない・遠慮している

送迎や手続きで子どもに手間をかけると思って、身を引いているケースもあります。この場合は「私が楽になるから行ってほしい」と正直に伝えたほうが、すんなり進むことがあります。

誘い方を少し変えてみる

理由が見えてきたら、言葉と段取りを組み替えます。

  • 「介護」という言葉を使わない。「体操の教室」「お風呂に入りに行くところ」「昼ごはんが出る集まり」など、本人が受け入れやすい呼び方に置き換える。
  • お試しであることを強調する。「一回だけ見に行って、合わなければやめていい」と、退路を示しておく。
  • 頼まれごとの形にする。「私が手続きを進めちゃったから、一回だけ付き合って」というほうが動きやすい方もいます。
  • 第三者から言ってもらう。家族の言葉は素直に聞けなくても、かかりつけの先生やケアマネジャー、近所の同世代の方の一言なら通ることがあります。
  • 知り合いがいる事業所を探す。同じ地区の方が通っているところなら、心理的なハードルがぐっと下がります。

逆に避けたいのは、本人のいないところで話を全部決めてしまうこと、そして「もう申し込んだから」と事後報告することです。一度失った信頼は、次のサービスを勧めるときにも尾を引きます。

体験利用と、それでも断られたときの選択肢

多くの事業所では体験利用や見学を受け付けています。まずは家族だけで見学し、雰囲気・送迎の時間・お風呂の設備・その日の過ごし方を自分の目で確認しておくと、親に説明するときの説得力が変わります。見学の段取りは、担当のケアマネジャーに相談すれば調整してもらえます。まだ要介護認定を受けていない場合や、担当がいない場合は、お住まいの市区町村の窓口や地域包括支援センターが最初の相談先になります。

それでも「行かない」が続くなら、無理に押し込まないという判断もあります。デイサービスだけが選択肢ではありません。

  • 訪問型に切り替える。自宅に来てもらう形なら、外に出る抵抗がある方でも受け入れやすい場合があります。
  • 回数と時間を減らす。半日だけ、月に数回だけ、といった形から始められる事業所もあります。
  • 地域のサロン・体操教室から。介護保険のサービスではありませんが、自治体や社会福祉協議会が関わる通いの場から入ると、抵抗が小さいことがあります。
  • 時期を待つ。季節の変わり目、通院のあと、知人が通い始めたときなど、気持ちが動くきっかけは後からやってきます。

大事なのは、断られた時点で話を終わらせないことです。「今は分かった。また気が変わったら言って」と一度引いておくと、次に切り出しやすくなります。

現場から一言:ご自宅にうかがっていると、「行かない」と言い張っていた方が、送迎車で顔なじみができた途端に毎週楽しみにするようになった、という話をよく聞きます。最初の一回のハードルが一番高い。そこだけ家族が一緒に越えてあげられると、あとは本人のペースで進むことが多いように思います。
※ 本記事の費用はあくまで目安です。自己負担割合・加算・食費などは、要介護度、利用時間、事業所、お住まいの地域によって異なります。制度の内容や手続きは改正されることがあるため、実際のご利用にあたっては担当のケアマネジャー、事業所、お住まいの市区町村の介護保険担当窓口または地域包括支援センターで最新の情報をご確認ください。健康状態やサービスの適否については、かかりつけの医療機関にご相談ください。

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本記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、医療・法律・税務・不動産取引などの個別の判断に関する助言ではありません。制度・費用は地域や時期により異なります。実際のご判断は、自治体および各分野の専門家にご相談ください。