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空き家・実家

実家の屋根・雨樋・外壁、傷みに気づいたら?劣化サインの見方と「無料点検」「保険で直せる」勧誘への備え

帰省のときに地上から見ておきたい屋根・雨樋・外壁の劣化サインと、傷みを見つけたあとの頼み方を整理。国民生活センターが注意を呼びかける屋根の点検商法や「保険金で自己負担なし」の勧誘、クーリング・オフの使い方までまとめました。

実家の屋根・雨樋・外壁、傷みに気づいたら?劣化サインの見方と「無料点検」「保険で直せる」勧誘への備え

久しぶりに実家へ帰ったとき、ふと見上げた屋根の瓦が一枚だけ浮いている。雨樋から草が伸びている。外壁に、前はなかった細いひびが走っている。親が住んでいる家でも、空き家になった家でも、外まわりの傷みは住んでいる人ほど気づきにくいものです。毎日見ている景色は、少しずつ変わっても目に入らないからです。

そして困ったことに、こうした傷みが目立ちはじめた家ほど、「近くで工事をしている者ですが、お宅の屋根の瓦がずれていますよ」という訪問を受けやすくなります。国民生活センターには、屋根工事の点検商法の相談が毎年のように多く寄せられています。

この記事では、離れて暮らす家族が帰省のときに見ておきたい屋根・雨樋・外壁の劣化サインと、傷みを見つけたあとの頼み方、そして「無料で点検します」「保険を使えば自己負担なしで直せます」という勧誘への備えを、順番に整理します。

まず知っておきたいこと:外まわりの傷みは「家の中」に出てから気づく

屋根や雨樋、外壁は、雨や風から家を守る外側の殻です。ここが傷んでも、すぐに室内へ影響が出るとは限りません。瓦のずれやひびから入った雨水は、まず下地の板や柱をゆっくり湿らせ、天井のしみや押し入れのかび臭さとして表に出るころには、内部の傷みがかなり進んでいることがあります。

雨漏りや湿気そのものの対策は空き家の雨漏り・湿気・カビ対策で詳しく書きました。この記事で扱うのは、その手前の段階、つまり外から見て「あれ?」と思った時点で何をするかです。早めに見つけて小さく直せば、費用も手間も小さく済みやすくなります。

もうひとつ大事なのが、ご近所への影響です。強い風で瓦や外壁材が落ちて通行人や隣家を傷つけた場合、建物の持ち主が責任を問われる可能性があります。民法717条は、建物などの「設置又は保存に瑕疵がある」ことで他人に損害が出たとき、まず占有者(住んでいる人など)が、占有者が必要な注意をしていた場合には所有者が賠償すると定めています。空き家で住む人がいないときは、所有者である親、あるいは相続した家族の問題になりやすいということです。

落ち葉と土がたまり、草が伸びている実家の軒先の雨樋
雨樋に落ち葉や土がたまると、草が根を張ることもあります。あふれた雨水は外壁や基礎を伝い、思わぬ場所を傷めます

帰省のときに見ておきたい劣化サイン

屋根に上る必要はありません。むしろ家族が屋根に上るのは危険なのでやめてください。地上から、道路の反対側や庭の隅など、少し離れた場所から見上げるだけで分かることがたくさんあります。スマートフォンのカメラのズーム機能を使えば、瓦の並びもかなりはっきり見えます。

屋根で見ておきたいところ

  • 瓦の並びが乱れていないか。一枚だけ浮いている、ずれて隙間が見える、割れて欠けている
  • 棟(屋根のてっぺん)がまっすぐか。棟が波打っている、しっくい(白い部分)がはがれて落ちている
  • 屋根の上や軒下に破片が落ちていないか。庭や犬走りに瓦のかけら、しっくいのくずが落ちていたら要注意
  • スレート屋根や金属屋根の場合は、色あせ、表面のこけ、さび、板金の浮きやめくれ

雨樋で見ておきたいところ

  • 落ち葉や土がたまっていないか、草が生えていないか
  • 雨樋が傾いていたり、留め金具が外れて垂れ下がっていたりしないか
  • 雨の日に、樋の途中から水があふれていないか。地面の一か所だけが掘れていたら、そこにあふれた水が落ちている合図です
  • 縦の樋(たてどい)の継ぎ目が外れていないか

外壁で見ておきたいところ

  • 窓の角から斜めに伸びるひびや、幅の広いひび
  • 外壁を手でなでたとき、白い粉が手につく(塗装の表面が傷んでいるサイン)
  • サイディング(板状の外壁材)のつなぎ目のゴム状の部分(シーリング)が、やせたり切れたりしていないか
  • 北側や日の当たらない面のこけ・かび、雨のしみの筋

見つけたものは、日付が分かるように写真を撮っておくのがおすすめです。次の帰省で同じ場所を撮れば、傷みが進んでいるかどうかを比べられますし、業者に相談するときや保険会社に問い合わせるときにも役立ちます。

傷みを見つけたら:落ち着いて、順番に

ずれた瓦や外れた雨樋を見ると、「すぐ直さないと」と焦ります。ただ、外まわりの修理は数万円台で済む部分補修から、屋根全体のふき替えや外壁の塗り替えのように大きな金額になる工事まで幅があります。焦って決めるほど、必要以上の工事を頼んでしまいがちです。次の順番で進めると判断しやすくなります。

順番 やること ポイント
1 写真で記録する 離れた位置からの全体と、ズームでの寄りの両方
2 危険があるか見る 道路や隣家側に落ちそうなものがあれば、そこを優先
3 原因を考える 台風・大雪などの後に急に起きたのか、年数による傷みか
4 こちらから依頼先を選ぶ 以前その家を建てた・直した工務店、地元で実績のある業者など
5 見積もりを比べる できれば2社以上。工事の範囲と内訳を同じ条件でそろえて比べる

ポイントは4番目の「こちらから選ぶ」です。向こうから来た業者に任せるのではなく、家族が選んだ相手に見てもらう。この形にしておくだけで、トラブルの多くは避けやすくなります。実家を建てた工務店や、以前に修理を頼んだ業者の名前が分からなければ、親に聞いておく、家の書類の中から領収書や保証書を探しておく、といった準備も役に立ちます。

見積書の内容が妥当か分からないときは、国土交通大臣が指定する相談窓口の住まいるダイヤル(公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター)で、リフォーム見積書のチェックを無料で受け付けています(電話 0570-016-100、平日10時〜17時)。自治体によっては、住まいの相談窓口を設けているところもあります。

「無料で点検します」と言われたら

国民生活センターは2023年10月、屋根工事の点検商法について注意を呼びかけました。全国の消費生活センターに寄せられた相談は、2018年度の923件から2022年度は2,885件まで増え、契約した人の8割超が60歳以上だったとしています。

同センターが紹介している典型的な流れは、次のようなものです。

  • 「近所で工事をしているので挨拶に来た」と突然訪ねてくる
  • 「屋根の瓦がずれているのが見えた」と言って無料点検を持ちかける
  • 屋根に上がったあと、ずれた瓦の写真やドローンで撮った写真を見せて、瓦が飛んで近所に迷惑をかけるなどと不安をあおる
  • その場で工事の契約を迫り、屋根のあとに外壁や床下の工事も次々と勧める
  • 「保険金を使えば負担が軽くなる」とほのめかす

見せられた写真が本当にその家の屋根なのか、点検のときに傷めたものではないのか、家族には確かめようがありません。突然来た業者を屋根に上げないことが、いちばんの防ぎ方です。親には「屋根や外壁のことを言われたら、『家族に任せているので』と言って、その場では何も決めないでね」と伝えておきましょう。高齢の親を狙った訪問販売全般への備えは高齢の親の詐欺・訪問販売対策にもまとめています。

点検商法は屋根だけではありません。国民生活センターは2026年9月にも、電力会社を名乗って分電盤を点検し、その場で交換工事を契約させる手口への注意を呼びかけています。「点検」をきっかけに訪ねてくる業者には、内容にかかわらず同じ姿勢で臨むのが安全です。

「保険を使えば自己負担なしで直せます」にも注意

もうひとつ相談が多いのが、火災保険などの保険金を使った住宅修理の勧誘です。国民生活センターによると、この種の相談は2008年度の36件から2017年度には1,177件と30倍以上に増え、契約当事者の6〜8割が60歳以上でした。相談の中には、保険金が出るよう申請をサポートすると持ちかけ、高い手数料や違約金の説明が十分でなかったもの、見積もりと違う工事やずさんな工事をされたものなどがあります。

台風や大雪のあとには、「損害保険で雨樋を無料で直せる」「年数で壊れたものも対象になる」といった勧誘の相談も寄せられています。ここで覚えておきたいのは、次の3つです。

  • 保険の対象になるかを決めるのは保険会社。業者が「必ず出ます」と言えるものではありません
  • 年数による傷み(経年劣化)を、台風などの被害と偽って請求するのは、絶対にしてはいけないことです
  • 保険が使えるか知りたいときは、まず加入している保険会社か代理店に相談する

実家の火災保険にどんな補償が付いているか、そもそも誰の名義で入っているかは、意外と家族が知らないものです。空き家になった家の保険の考え方は空き家の火災保険、入れる?必要な補償はを参考にしてください。台風シーズン前の備えは台風・地震の前に、遠方の実家でやっておく備えにまとめています。

契約してしまったら:クーリング・オフを確かめる

自宅への訪問で結んだ工事の契約は、特定商取引法の「訪問販売」にあたり、契約書面を受け取った日を含めて8日間はクーリング・オフ(無条件の解約)ができる場合があります。工事が終わったあとでも、期間内なら申し出られます。

  • 通知ははがきなどの書面のほか、電子メールなどの電磁的記録でもできます(契約書に通知先や方法が書かれていれば、それに従います)
  • はがきは両面をコピーし、特定記録郵便や簡易書留で送って証拠を残す
  • クレジット契約をしている場合は、販売会社とクレジット会社の両方に通知する
  • 業者がうそを言ったり脅したりしてクーリング・オフを妨げた場合は、8日を過ぎても申し出られることがあります

親から「屋根の工事を頼んだ」と聞いて不安を感じたら、日数が過ぎる前に、契約書を写真に撮って送ってもらい、消費者ホットライン「188(いやや!)」で最寄りの消費生活センターに相談してください。家族が代わりに電話して相談することもできます。

通えない家族ができる「見る仕組み」

外まわりの傷みは、年に1〜2回の帰省ではなかなか追いきれません。とくに台風や大雪のあとは、すぐに様子を見に行けないことに気をもむ人も多いでしょう。そんなときは、次のような方法を組み合わせると安心です。

  • ご近所に一声かけておく。「何か落ちていたら連絡をください」と電話番号を渡しておく
  • 帰省のたびに同じ位置から写真を撮る。家の東西南北の4面と屋根を、毎回同じ構図で
  • 空き家管理サービスを使う。外まわりの目視点検と写真での報告を定期的に受けられるものが多く、費用は内容によって月数千円程度から幅があります。依頼先に確認してください

通えないときの管理の工夫は遠方の実家、月1で通えないときの管理方法、業者に頼む場合の内容と費用感は空き家管理を業者に頼むといくら?で紹介しています。

よくある質問

瓦が1枚ずれているだけでも、すぐ直すべきですか?

すぐに雨漏りするとは限りませんが、ずれた瓦は強風で飛びやすく、隙間から雨水が入り込むこともあります。道路や隣家に面した側なら、早めに信頼できる業者に見てもらうのが安心です。部分的な差し直しで済むことも多いので、全体のふき替えを勧められたら、ほかの業者の意見も聞いてみましょう。

雨樋の掃除は家族でやってもいいですか?

1階の低い位置で、足場が安定していて手が届く範囲なら、手袋をして落ち葉を取り除くことはできます。ただし、はしごを使った2階の雨樋の作業は転落の危険が大きいので、無理をせず業者に頼んでください。高齢の親にもやらせないよう、ひと言伝えておきましょう。

訪問してきた業者が「今日契約すれば安くする」と言っています。

その場で決める理由はありません。本当に必要な工事であれば、家族と相談し、ほかの業者の見積もりと比べてからでも間に合います。「今日だけ」と急がせること自体が、慎重になるべき合図だと考えてください。

現場から一言:空き家の見回りで屋根を見上げると、瓦のずれよりも先に、雨樋の草や詰まりに気づくことがよくあります。雨樋があふれると、外壁の同じ場所が繰り返しぬれて、しみやかびになっていきます。帰省したら、まず家のまわりを一周して、雨樋と地面の様子を見てください。地面に水が落ちた跡が一か所だけ深くなっていたら、その真上の樋を疑ってみる。これだけでも、傷みの見つけ方がずいぶん変わります。
出典:国民生活センター「屋根工事の点検商法のトラブルが増えています」(2023年10月11日)・「『保険金を使って住宅を修理しませんか』がきっかけでトラブルに!」(2018年9月6日)・「分電盤の点検商法にご注意ください」(2026年9月16日)・「災害に関連する消費者トラブル」/民法第717条(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)/神奈川県「クーリング・オフのしくみ」/三重県 住まいの相談窓口(住まいるダイヤル)。費用は目安で、建物の状態や地域で変わります。実際の金額は依頼先に確認してください。

本記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、医療・法律・税務・不動産取引などの個別の判断に関する助言ではありません。制度・費用は地域や時期により異なります。実際のご判断は、自治体および各分野の専門家にご相談ください。