親に手すりや歩行器、買う前に借りられる?介護保険の福祉用具レンタル
親の歩行が不安になってきたとき、手すりや歩行器は買う前に介護保険で借りられる場合があります。レンタルと購入の分かれ目、要介護度による違い、費用の目安、住宅改修との使い分けまで整理しました。

実家に帰るたび、親の歩き方が少し不安定になってきた。玄関の上がりかまちで手をついている、廊下で壁伝いに歩いている——そんな場面を見て「手すりを買ってこよう」「歩行器はいくらするんだろう」と考える方は多いと思います。
ただ、いきなり買う前に知っておきたいのが、介護保険の福祉用具貸与(レンタル)という仕組みです。要支援・要介護の認定を受けていれば、必要な用具を月々わずかな自己負担で借りられる場合があります。体の状態は変わっていくものなので、「まず借りて様子を見る」ができるのは、実は大きな利点です。
買う前に「借りる」を検討したい理由
福祉用具を自費で買うと、歩行器なら数万円、介護ベッドなら十数万円以上かかることも珍しくありません。それでも体に合わなかったり、数か月後に状態が変わって別のタイプが必要になったりすることがあります。
レンタルであれば、次のような対応がしやすくなります。
- 合わなければ違う機種に交換できる
- 不要になったら返却できる(大きな用具の処分に困らない)
- 故障・不具合のときに事業者が点検・修理を行う
- 手すりの多くは工事不要の据置型で、賃貸や持ち家を問わず設置しやすい
特に遠方から親を支えている場合、「大きな物を買って置いてきたけれど使われていない」という事態は避けたいところです。専門職に相談しながら試せる点も含めて、まずはレンタルを検討する価値があります。
借りられるもの・買うことになるもの
レンタル(貸与)が基本のもの
おおむね次のような用具が、介護保険の貸与の対象とされています。
- 手すり(工事を伴わない据置型・突っ張り型)
- スロープ(工事を伴わないもの)
- 歩行器、歩行補助つえ
- 車いす・車いす付属品
- 特殊寝台(いわゆる介護ベッド)とその付属品
- 床ずれ防止用具、体位変換器
- 認知症の方の見守りに関する機器、移動用リフト など
注意したいのは、要介護度によって借りられる品目が違うことです。手すり・スロープ・歩行器・つえなどは要支援1から対象になりますが、車いすや介護ベッドなどは原則として要介護2以上が対象とされています。状態によっては例外的に認められる仕組みもあるため、「うちの親は要介護1だから無理」と決めつけず、担当のケアマネジャーに一度相談してみてください。
購入になるもの(特定福祉用具販売)
入浴や排泄に使うもののように、他の人が繰り返し使うことに抵抗がある用具は、レンタルではなく購入の扱いになります。シャワーチェア(入浴用いす)、浴槽用手すり、ポータブルトイレ、簡易浴槽などが代表的です。
これらは指定を受けた事業者から買うことで、購入費の一部が介護保険から支給されます。支給には年度ごとの上限額が決められているので、「今年度はいくらまで使えるか」をケアマネジャーや窓口で確認しておくと安心です。
なお、近年の制度改正で、一部の用具(固定用スロープや歩行器の一部、つえなど)については貸与と購入を選べる仕組みも導入されています。対象になる品目や運用は変わることがあるため、最新の扱いは自治体や事業者に確認してください。
費用はどのくらいかかる?
金額は用具の種類・機種・地域・事業者によって幅がありますが、考え方としてはこうなります。
- 貸与は、月々のレンタル料に対して所得に応じた自己負担割合(1〜3割)がかかる
- 据置型の手すりやつえなど小さめの用具は、1割負担なら月数百円程度に収まることが多い
- 介護ベッドや車いすなど大きな用具でも、1割負担なら月千円台〜という例が多い
- 購入扱いの用具は、年度ごとの支給限度の範囲内で、同じく1〜3割の自己負担
いずれもあくまで目安です。同じ「介護ベッド」でも機能によってレンタル料は変わりますし、複数の用具を借りれば合計額は増えます。また、福祉用具の費用は介護保険の区分支給限度基準額(要介護度ごとの利用枠)に含まれるため、デイサービスや訪問介護をたくさん使っていると枠を圧迫することがあります。ケアプランを作る段階で、全体のバランスを一緒に見てもらうとよいでしょう。
手すりを「付けたい」なら住宅改修という別の枠も
据置型では対応しきれず、壁にしっかり手すりを取り付けたい、段差を解消したい、という場合は、レンタルではなく住宅改修の対象になります。介護保険には住宅改修費の支給という別の仕組みがあり、こちらにも上限額が定められています。
大切なのは、工事を始める前に申請が必要だという点です。先に工事をしてしまうと支給を受けられないことがあるため、必ず着工前にケアマネジャーや市区町村の窓口に相談してください。市区町村によっては、介護保険とは別の独自の助成を用意しているところもあります。
借りるまでの流れ
- 要支援・要介護の認定を受ける(未申請なら、まず地域包括支援センターへ)
- 担当のケアマネジャー(要支援なら地域包括支援センター等)に、困っている場面を具体的に伝える
- 福祉用具専門相談員が自宅を見て、間取りや動線に合う用具を提案する
- 実際に試して、使い勝手を本人が確認する
- ケアプランに位置づけて契約・搬入。使い始めた後も定期的に見直してもらう
ここで大事なのは、親本人が試して納得することです。家族だけで決めて運び込むと、「まだそんな物はいらない」と使われないまま部屋の隅に置かれてしまいがちです。「転ばないため」ではなく「これがあると好きな場所まで行きやすいよ」と、できることが増える方向で伝えると受け入れられやすくなります。
実際に動くときの相談先
記事を読んで「うちの場合はどうするか」まで進むと、次は実務の相談先が必要になります。実家ノートを運営しているエムズグループでは、愛知・岐阜・三重で次のサービスを行っています。
- エムズ高齢者サポート ── 名古屋市とその周辺で、見守り・通院の付き添い・買い物・書類の整理などを、月額会員制で継続してお手伝い
- 便利屋エムズ ── 家財の片づけ、不用品の搬出、家具の移動など、作業ごとのご依頼
どちらに頼めばよいか決まっていない段階でも構いません。エムズグループの相談窓口で内容を伺い、担当をご案内します。
本記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、医療・法律・税務・不動産取引などの個別の判断に関する助言ではありません。制度・費用は地域や時期により異なります。実際のご判断は、自治体および各分野の専門家にご相談ください。