親を呼び寄せる?実家に残る?離れて暮らす親の住まいの決め方と費用の考え方
離れて暮らす親を呼び寄せるか、実家で暮らし続けてもらうか。判断の前に整理したい暮らしの中身、それぞれで起きやすいこと、初期費用と毎月の費用の分け方、決めきれないときの試し方をまとめました。

離れて暮らす親の体調や物忘れが気になり始めると、多くの家族が同じところで立ち止まります。「こちらに呼び寄せたほうがいいのか、それとも実家で暮らし続けてもらうのか」。どちらが正解と決まっているものではなく、親の状態、住まいの条件、家族の生活、そしてお金の見通しが重なって決まっていきます。
ここでは、判断のときに整理しておきたい材料を、現場でよく相談を受ける順に並べてみます。
まず比べるのは「家」ではなく「暮らしの中身」
相談を受けていて感じるのは、最初から「どっちにするか」で考え始めると行き詰まりやすい、ということです。先に整理したいのは、親が一日をどう過ごしているかのほうです。
- 買い物・通院・入浴・調理のうち、今ひとりでできているのはどれか
- 近所や親戚で、日常的に顔を合わせている人がいるか
- すでに介護保険のサービスやかかりつけ医とつながっているか
- 家の中に段差・階段・浴室など、負担になっている場所はないか
- 家族が実家に行くのに、片道どれくらいかかるか
この5つを書き出すと、「困っているのは家そのものではなく、買い物と通院の足だった」というように、論点が具体的になることがあります。足の問題なら、住まいを動かさずに解決できる場合もあります。
親自身がどう思っているかを、先に聞く
家族が良かれと思って進めた話ほど、親が身構えてしまうことがあります。「引っ越そう」と結論から入るより、「もし体調を崩したとき、どこで暮らしたい?」と、状況を仮に置いて聞くほうが本音が出やすいようです。まだ元気なうちに一度話しておくと、あとで急に決めなくて済みます。
呼び寄せる場合に、あとから出てくること
呼び寄せは「近くにいられる」という大きな安心があります。一方で、実際に動いたあとに相談が増えるのは次のような点です。
- 人間関係が一度リセットされる:長年の近所付き合いや通いなれた店から離れると、日中の話し相手がいなくなり、家に閉じこもりがちになることがあります。新しい通い先を早めに探す家族が多い印象です。
- 医療・介護のつながりを作り直す:かかりつけ医やケアマネジャーが変わります。転居先の地域包括支援センターに早めに相談しておくと、次のサービスにつながりやすくなります。
- 住所を移すと手続きが伴う:介護保険の要介護認定や各種の助成は、住民票のある市区町村が窓口です。転出入の際に必要な手続きがあるため、動く前に双方の市区町村の窓口で確認しておくと安心です。
- 実家が空き家になる:呼び寄せは、そのまま「実家をどうするか」という次の課題を生みます。すぐ売る・貸すと決められないことも多いので、当面の管理をどうするかまで考えておきたいところです。
実家に残る場合に、備えておきたいこと
住み慣れた家で暮らし続けるのは、本人にとって負担の少ない選択です。ただ「今のまま何もしない」のとは違います。
- 緊急時に連絡できる先(親族・近隣・民生委員・地域包括支援センターなど)を一覧にして、電話の近くに貼っておく
- 安否の確認方法を一つ決める。毎日の短い電話、見守りサービス、家電の使用状況の通知など、続けられる方法を選ぶ
- 通院と買い物の足を確保する。自治体の移動支援、介護タクシー、宅配や移動販売など、地域によって使える選択肢が異なります
- 転びやすい場所(玄関の上がり框、浴室、階段)に手すりや滑り止めを検討する。介護保険の住宅改修や福祉用具の対象になる場合があるため、ケアマネジャーや窓口に相談を
- 家族が帰省したときに「点検する場所」を決めておく。水回り、屋根や雨樋、冷蔵庫の中身などは変化が出やすい場所です
お金は「初期費用」と「毎月」を分けて見る
費用は地域・時期・条件で大きく変わるため、金額を一つに決め打ちしないことが大切です。比べるときは、次のように分けて書き出すと差が見えやすくなります。
- 呼び寄せの初期費用:長距離の引っ越し費用、新しい住まいの契約にかかる費用、家具・家電の買い替え。引っ越し費用は荷物量と時期で数万円から十数万円以上まで開きが出ます(あくまで目安)。
- 呼び寄せの毎月:家賃や共益費、光熱費。高齢者向け住宅を選ぶ場合は、家賃のほかにサービス費や食費が別途かかるのが一般的です。
- 実家に残る場合の毎月:現状の光熱費に加えて、見守りサービスや配食、移動支援などの利用料。
- 両方に共通して残るもの:実家の固定資産税、火災保険、そして家族の帰省交通費。呼び寄せても実家を残すなら、この分は続きます。
「呼び寄せたほうが安い」と思っていたのに、実家の維持費と新しい住まいの費用が二重になって想定と違った、という話も聞きます。1年単位で合計してみると判断しやすくなります。
決めきれないときは、期限を切って試す
すぐに一本化しなくても構いません。「冬の間だけこちらで過ごしてもらう」「月に一度、こちらに泊まってもらう」といった形で試してから決める家族もいます。実際に過ごしてみると、本人の反応や家族の負担が具体的に見えてきます。決めた内容は、きょうだいなど関係する家族にも共有しておくと、後々の食い違いを防げます。
実際に動くときの相談先
記事を読んで「うちの場合はどうするか」まで進むと、次は実務の相談先が必要になります。実家ノートを運営しているエムズグループでは、愛知・岐阜・三重で次のサービスを行っています。
- エムズ高齢者サポート ── 名古屋市とその周辺で、見守り・通院の付き添い・買い物・書類の整理などを、月額会員制で継続してお手伝い
- 便利屋エムズ ── 家財の片づけ、不用品の搬出、家具の移動など、作業ごとのご依頼
どちらに頼めばよいか決まっていない段階でも構いません。エムズグループの相談窓口で内容を伺い、担当をご案内します。
本記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、医療・法律・税務・不動産取引などの個別の判断に関する助言ではありません。制度・費用は地域や時期により異なります。実際のご判断は、自治体および各分野の専門家にご相談ください。