実家ノートJikka Note
空き家・実家

実家を売る前にリフォームすべき?現況のまま売る場合との違いと考え方

空き家の実家を売るとき、直してから出すか現況のまま出すか。買い手の種類で答えが変わる理由、費用が回収しにくい工事と印象に効く手当て、現況渡しの注意点、解体前に確認したいことを整理しました。

空き家になった実家を売ると決めたあと、必ず出てくるのが「このまま売れるのか、直してから売るのか」という迷いです。水回りが古い、壁紙が傷んでいる、畳が焼けている。見ればどうしても気になります。

ただ、かけた費用がそのまま売却価格に上乗せされるとは限りません。ここでは、リフォームが効きやすい場面とそうでない場面、現況のまま売る「現況渡し」の考え方を整理します。

前提:買い手が誰かで答えが変わる

同じ家でも、買う人によって見るところが違います。

  • 自分たちで住む人(実需の買主)——入居後の暮らしを想像するので、水回りの清潔さや明るさが印象を左右します
  • 買取や再販をする事業者——自社で直す前提なので、内装の状態はあまり価格に反映されません。むしろ直した分が無駄になることもあります
  • 土地として使いたい人——建物は解体前提。内装に費用をかける意味はほとんどありません

つまり「直すべきか」は家の状態だけでは決まりません。どの買い手に向けて売るのかを先に決めると、判断がぐっと単純になります。

費用が回収しにくいもの、効きやすいもの

回収しにくくなりがちなもの

  • キッチンや浴室のまるごと交換——金額が大きく、買主の好みとも合いにくい
  • 間取りを変える工事——次の住み手の家族構成が分からない段階では読みにくい
  • 最新設備の導入——事業者が買う場合、そのまま撤去されることもある

比較的、印象に効きやすいもの

  • 家財を出し切って、空の状態にする
  • 清掃——特に台所、浴室、トイレ、窓まわり
  • 草刈りと庭木の剪定。外から見た第一印象は写真にも効きます
  • 切れた電球の交換、雨戸やカーテンを開けて明るくしておく
  • 雨漏りなど、放置すると傷みが進む不具合の応急的な手当て

大がかりな改装より、「片付け・清掃・明るさ」のほうが費用対効果は読みやすい、というのが実務での感覚です。金額はあくまで目安ですが、清掃や草刈りは改装工事とは桁がひとつ違うことがほとんどです。

「現況渡し」で売るという選択

今の状態のまま引き渡す売り方を、現況渡しと呼びます。手間と初期費用を抑えられる一方、家の不具合は価格に織り込まれる前提になります。

  • 分かっている不具合(雨漏り、シロアリの跡、傾き、給排水の不調など)は隠さず伝える
  • 売主が個人であっても、契約の内容に適合しない場合の責任の扱いは契約書で定めるのが一般的です。どこまでを免責とするかは必ず説明を受ける
  • 解体を前提にする買主なら、内装の状態はほとんど問題になりません

不具合を伝えることは、値下げ材料になるようで、実は後のトラブルを防ぎます。引き渡し後に発覚するほうが、費用も心の負担もはるかに大きくなります。

解体してから売る場合に確認したいこと

建物を壊して土地として売る方法もありますが、こちらは費用が先に出ていきます。判断の前に、次の点は確認しておきたいところです。

  • 解体後は建物がなくなるため、土地にかかる税の扱いが変わる場合があります。時期によって負担が変わることがあるので、市区町村の税務担当に確認を
  • 接道や再建築の条件によっては、更地にしても建て替えできない土地があります
  • 解体費用は建物の構造や立地、道路の広さで大きく変わります

「更地のほうが売れる」と言われることもありますが、必ずそうとは限りません。解体前に、建物付きのままの査定と、更地にした場合の想定価格の両方を聞いておくと比べやすくなります。

迷いを減らすためにやっておくこと

  • 複数の不動産会社に見てもらい、「このまま」「清掃だけ」「改装した場合」で見立てがどう変わるか聞く
  • 仲介で売る場合と、買取で売る場合の両方の金額感を出してもらう
  • 提案されたリフォームについては、その工事で売却価格がいくら上がる見込みかを、根拠と一緒に説明してもらう
  • 工事を勧める会社が、その工事も請け負う立場かどうかを確認しておく

「直さないと売れませんよ」と強く言われたときほど、いったん持ち帰って別の会社にも聞いてみてください。判断材料が二つ以上あると、決めやすくなります。

どちらを選んでも、片付けは無駄にならない

改装するか、現況で売るか、解体するか。どの道を選んでも、家財を出して家の中が見える状態にする作業は必ず必要になります。判断がつかないうちは、まず片付けと清掃から始めておくと、時間を無駄にしません。

家の中が空になると、床の傾きや壁のしみなど、物に隠れていた状態も見えてきます。査定の精度が上がり、話も具体的になります。

現場から一言:空き家の片付けでお伺いしたあと、「思っていたより家がしっかりしていた」と分かって、方針が変わったご家族が何度かありました。逆に、家財を出したら床が沈んでいた、ということもあります。直すかどうかを机の上で悩むより、まず中を空にして、家の状態をご自分の目で見てから決めるほうが、結果的に早いと感じます。
本記事は一般的な情報の整理であり、個々のご事情によって適切な対応は異なります。記載した費用の考え方はあくまで目安で、建物の状態・立地・地域・事業者によって変わります。税金の取り扱い、再建築の可否、契約上の責任の範囲などは個別の条件で結論が変わるため、市区町村の担当窓口や、不動産会社・税理士・司法書士など各分野の専門家にご確認ください。

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本記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、医療・法律・税務・不動産取引などの個別の判断に関する助言ではありません。制度・費用は地域や時期により異なります。実際のご判断は、自治体および各分野の専門家にご相談ください。