実家をきょうだいの共有名義のままで大丈夫?困りやすい場面と整理の進め方
相続した実家をきょうだいの共有名義のままにすると、売却時の同意、修繕費の負担、固定資産税の通知先でつまずきがちです。持ち続ける場合の取り決めと、共有を解消する方法、費用の目安を整理しました。

親が亡くなり、実家を「とりあえずきょうだい3人の共有名義に」。相続の話し合いが長引きそうなときや、誰が住むか決まらないときに、いちばん選ばれやすい形です。ただ、共有のままにしておくと、数年後に「売りたいのに動かせない」「修理の費用を誰が出すかでもめる」といった形で行き詰まることがあります。
ここでは、共有名義の実家で実際に困りやすい場面と、そのまま持ち続ける場合・整理する場合それぞれの進め方を整理します。
共有名義でよくつまずく3つの場面
1. 売りたいときに全員の同意がいる
共有している家や土地を丸ごと売る、取り壊す、といった「持ち物そのものを変える行為」は、原則として共有者全員の同意が必要です。ひとりでも「まだ売りたくない」「連絡がつかない」という人がいると、話が止まります。
やっかいなのは、時間が経つほど共有者が増えていくことです。共有者の誰かが亡くなれば、その持分はさらにその子どもたちへ相続されます。当初3人だった共有者が、次の世代では従兄弟同士7〜8人、というのは珍しくありません。顔を合わせたことのない親族と売却の相談をする、という状態になってしまいます。
2. 修繕や管理の費用負担が決まっていない
雨漏りの修理、草刈り、庭木の剪定、火災保険料。共有物にかかる費用は、原則として持分の割合に応じて負担します。ただ、実際には「近くに住んでいる長男だけが毎回対応している」「支払いは誰かひとりが立て替えたまま」になりがちです。
金額が小さいうちは我慢できても、屋根の修理で数十万円といった話になると、途端に不満が表に出ます。最初の1〜2年のうちに、費用の出し方だけでも決めておくと後が楽です。
3. 固定資産税の通知は代表者ひとりに届く
共有名義の不動産の固定資産税は、共有者が連帯して納める扱いになり、納税通知書は代表者として登録された1人に届きます。届いた人が全額を払い、あとから他の共有者に請求する——という流れになるため、「請求しづらくて自分が払い続けている」という声はよく聞きます。
持ち続けるなら、決めておきたいこと
すぐに手放す予定がないなら、共有のままでも構いません。ただし、次の点は文書にしておくことをおすすめします。
- 誰が管理の窓口になるか(鍵の保管、業者への連絡、近隣からの連絡先)
- 費用の負担割合と精算のタイミング(年1回まとめて精算、など)
- いくらまでなら窓口の判断で発注してよいか(例:3万円まで、それ以上は全員に相談)
- 将来売る・貸すことになったときの進め方
- 共有者全員の連絡先(住所が変わったら共有する、という取り決めも含めて)
形式ばった契約書でなくても、話し合った内容をメモにして全員がコピーを持っておくだけで、数年後の記憶違いはかなり防げます。
共有を解消する主な方法
「いずれ手放す」「関わりを整理したい」なら、早いうちのほうが選択肢は多く残ります。
- 誰かひとりの名義にまとめる:住む人・管理できる人が他の共有者の持分を買い取る。持分に応じたお金を払う形が基本ですが、金額の折り合いがつかないことも多く、不動産の評価をどう出すかが焦点になります。
- 全員で売って代金を分ける:いちばんもめにくい方法です。全員が同意できるうちに動くのが肝心です。
- 持分だけを手放す:自分の持分だけを第三者に売ることは制度上は可能ですが、買い手が限られ、価格も低くなりがちです。他の共有者との関係も難しくなるため、慎重に。
- 話がまとまらない場合:共有物分割の話し合いや調停・裁判という手段もあります。時間も費用もかかるので、まずは当事者間での整理を優先したいところです。
なお、相続で不動産を取得した場合の相続登記は、2024年4月から義務化されています。共有のままにするかどうかとは別に、名義の手続き自体は期限内に済ませておく必要があります。詳しい期限や必要書類は、法務局や司法書士にご確認ください。
費用の目安
あくまで目安で、地域・物件の内容・依頼先によって大きく変わります。
- 相続登記を司法書士に依頼:おおむね7万〜15万円程度(別途、登録免許税や書類の取得費用)
- 共有者間の持分移転登記:おおむね5万〜10万円程度(別途、登録免許税)
- 不動産の査定:不動産会社の簡易査定は無料のことが多い。不動産鑑定士による正式な鑑定は20万円台〜
- 空き家の定期的な見回り・通水を業者に頼む場合:月5,000〜10,000円程度が一つの目安
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本記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、医療・法律・税務・不動産取引などの個別の判断に関する助言ではありません。制度・費用は地域や時期により異なります。実際のご判断は、自治体および各分野の専門家にご相談ください。