冬の空き家、水道管の凍結・破裂をどう防ぐ?実家の水抜き・止水栓の確かめ方と、破裂したときの連絡先
誰も住んでいない実家は、水道管が凍りやすく、破裂しても気づけません。水道局が案内する凍結の目安(マイナス4℃以下)と予防・解凍の方法、冬の前に決めておく水道の置き方、破裂したときの止め方と修理の頼み先、費用負担と減免の考え方をまとめました。

10月も下旬になると、朝晩の冷え込みが急に強くなります。人が住んでいる家なら毎日水を使うので気にならないことでも、誰も住んでいない実家では話が変わります。冬に一番多いトラブルのひとつが、水道管の凍結と破裂です。
やっかいなのは、空き家では「凍った」「破れた」にすぐ気づけないことです。久しぶりに行ったら床が水浸しだった、次の検針で水道料金が跳ね上がっていた、隣の家から「水の音がずっとしている」と電話が来た──こうした形で発覚することが少なくありません。この記事では、水道局が案内している凍結の目安と対処をもとに、離れて暮らす家族が冬の前に決めておくこと、寒波の日にすること、破裂していたときの連絡先と費用の考え方をまとめます。
空き家の水道管は、なぜ凍りやすいのか
水道管の中の水は、流れているあいだは凍りにくく、止まったまま冷やされると凍ります。人の住んでいない家は、蛇口を開ける人がいないうえ、暖房も入りません。家の中の温度も外とほとんど変わらなくなるため、住んでいる家より条件が悪くなります。
凍結の目安として、多くの水道局が挙げているのが「最低気温がマイナス4℃以下」です。広島市は、風当たりの強い場所ではマイナス1〜2℃でも凍結・破裂のおそれがあると案内しています。寒冷地だけの話ではなく、ふだん雪の少ない地域でも、強い寒波が来た日には起こりうるということです。
水道局の案内で「凍りやすい場所」として挙げられているのは、次のようなところです。
- 屋外でむき出しになっている水道管や蛇口(庭の立水栓など)
- 北向きの日陰や、風が通り抜ける場所にある配管
- 水道メーターと、そのまわりの配管
- 給湯器につながる配管(給湯器の下で立ち上がっている部分)
- そして、空き家や長期間留守にしている家そのもの
最後の項目は、広島市の案内にもはっきり書かれています。空き家は、それだけで「凍りやすい家」として扱われているわけです。

空き家で凍結・破裂すると、何が困るのか
凍結そのものは、気温が上がれば自然に溶けることもあります。困るのは、凍った水が膨らんで管や蛇口、給湯器の内部を割ってしまう「破裂」です。割れたところからは、氷が溶けたあとに水が出続けます。
住んでいる家ならすぐに元栓を閉められますが、空き家では誰も気づかないまま、数日から数週間、水が流れ続けることがあります。その結果として起こりやすいのが次のことです。
- 床下や壁の中が水浸しになる:床材や土台が傷み、カビや腐れの原因になります。修理は配管だけで済まなくなります
- 水道料金が大きくなる:漏れた水も、メーターを通っていれば使用量として数えられます
- 近所に迷惑がかかる:隣地や道路に水が流れ出る、冬場なら路面が凍るといったことも起こりえます
もうひとつ知っておきたいのが、費用の負担です。川崎市上下水道局は、敷地内の給水管はお客様の所有物で、修理費用は原則としてお客様の負担と案内しています。道路の下など水道局が修理する範囲は別ですが、家の中や敷地内の配管が破裂した場合は、持ち主(相続前なら親、相続後なら相続人)が直すのが基本です。
漏水した分の水道料金を減らしてもらえる「減免」の制度を設けている水道事業者もありますが、条件があります。たとえば千葉県営水道は、対象を「適正な管理をしても発見が困難な地下漏水」とし、蛇口や水洗トイレからの漏水は対象外、修理は指定給水装置工事事業者が行うことなどを条件にしています。凍結による破裂が対象になるかどうかは事業者ごとに違うので、「減免があるから大丈夫」とは考えず、まずは凍らせない準備をするほうが確実です。
冬が来る前に決めておくこと:水道を「どうしておくか」
冬の空き家の水道は、大きく分けて次の4つの置き方があります。どれが正解というより、実家の地域の寒さと、家族が通う頻度で選びます。
| 置き方 | 向いているケース | 気をつけること |
|---|---|---|
| そのまま使える状態にしておく | 温暖な地域で、月に何度か通って掃除や換気をしている | 寒波の日は凍結のおそれがある。保温材などの備えはしておく |
| 元栓(止水栓)を閉めておく | しばらく通わないが、契約は残しておきたい | 止水栓より家側の管に残った水は凍ることがある。破裂しても水が出続けないのが利点 |
| 水抜きをしておく | 寒冷地、または冷え込みの強い場所にある家 | 水抜き栓の位置と手順は家ごとに違う。給湯器は取扱説明書の手順で |
| 水道局に使用中止(閉栓)を申し込む | 当面使う予定がない、解体や売却が決まっている | 再開には申し込みが必要。掃除や庭の水やりに使えなくなる |
使用中止の手続きや、電気・ガスとあわせた考え方は空き家の電気・ガス・水道を止める手続きにまとめています。ひとつ注意したいのは、凍結防止ヒーターや給湯器の凍結防止機能は電気で動いていることです。電気を止めると、これらも働かなくなります。
冬の前にやっておく準備
寒くなってからでは、作業そのものがつらくなります。紅葉の季節のうちに、次のことを済ませておくと安心です。
1. 水道メーターと止水栓の場所を確かめる
破裂したときに真っ先に必要なのが、水を止めることです。戸建てなら、敷地の地面にある「量水器」などと書かれたふたの中に、メーターと止水栓が入っていることが多くあります。ふたを開けて場所を確かめ、スマートフォンで写真を撮って家族で共有しておきましょう。いざというとき、見回りを頼んだ人や近所の方に「ここを閉めてください」と伝えられます。止水栓が固くて回らないときは、無理に回さず水道事業者に相談します。
2. むき出しの配管を保温する
千葉県営水道や広島市は、屋外の水道管や蛇口に保温材を巻き、その上からビニールを巻いて雨や雪で濡れないようにする方法を案内しています。市販の保温チューブのほか、布やタオルでも代用できます。メーターボックスの中は、細かくした発泡スチロールをビニール袋に入れて詰めると冷気を防げます。保温材の取り付けは指定給水装置工事事業者に頼むこともできます(有料)。
3. 給湯器と水抜き栓の手順を確認する
給湯器は内部に水が残る機器で、凍ると修理や交換が必要になることがあります。機種ごとに水抜きの手順が違うので、取扱説明書かメーカーのサイトで手順を確認し、わからなければ設置した業者やメーカーに聞きます。寒冷地の家には、家全体の水を抜く「水抜き栓」がついていることもあります。親が毎冬自分でやっていたなら、元気なうちに手順を一緒に見ておくと、あとで困りません。
4. 連絡先をひとまとめにする
実家のある地域の水道事業者の連絡先(漏水・修理の受付、夜間の緊急窓口)、水道局が指定している工事事業者の一覧の場所、見回りを頼む人の電話番号を、紙とスマートフォンの両方に残します。
自治体によっては、独自の対策もある
北九州市上下水道局は、平成28年1月の寒波で宅地内の水道管の凍結や破損が約6千件起きたことを受け、高台にある空き家(約600戸)を対象に、寒波(おおむね氷点下2℃以下)が来る前に市が水道メーターを引き上げて漏水を防ぐ取り組みをしています。こうした対策があるかどうかは地域によって違うので、実家のある自治体の水道局のページを一度見ておく価値があります。
寒波の予報が出たら・凍ってしまったら
天気予報で強い冷え込みが出たら、通える距離なら前日に行って水抜きや元栓の確認をします。通えないなら、見回りを頼んでいる人に声をかけておきます。
朝、蛇口をひねっても水が出ない場合は、凍結が考えられます。水道局の案内では、自然に溶けるのを待つか、凍った部分にタオルをかぶせ、その上から「ぬるま湯」をゆっくりかける方法が勧められています。熱湯は使いません。急に温めると、管や蛇口が破裂するおそれがあるためです。溶けたあとは、管が割れていないか、水がにじんでいないかを確かめます。
破裂していたら:まず止めて、指定の業者へ
水が噴き出している、床が濡れている、といった場合の手順は、どの水道局の案内もほぼ同じです。
- メーターボックスの止水栓を閉めて水を止める(場所がわからなければ、破れた部分にタオルや布をきつく巻いて応急処置)
- 修理を申し込む:地域の水道事業者が指定している「指定給水装置工事事業者」に依頼します。業者がわからない、止め方がわからないときは水道事業者に連絡すれば案内してもらえます
- 濡れた場所の後始末:床下や壁の中に水が回っていないかを確認し、必要なら乾燥や修繕の手配をします
修理費用は、壊れた場所と範囲で大きく変わります。外に出ている配管の一部を直すだけなら比較的小さな工事で済むこともありますが、壁の中や床下、地中の配管となると、掘ったり内装をはがしたりする費用が加わり、数万円では収まらないこともあります。金額は必ず見積もりで確認し、急かされても内容と金額に納得してから頼みましょう。
火災保険で補償されるかどうかは、契約内容によって分かれます。水道管そのものの修理と、漏れた水で傷んだ床や家財の補償とが、別の扱いになっている契約もあります。また、空き家は住宅用の契約では引き受けの条件が変わることがあります。保険証券を手元に用意して、保険会社か代理店に確認してください。屋根や外壁の修理で多い「保険で直せます」という勧誘への注意点は、実家の屋根・雨樋・外壁、傷みに気づいたら?で触れています。
離れて暮らす家族ができる、冬の段取り
実家に毎週通えない場合でも、段取りを決めておけば被害はかなり小さくできます。
- 11月中に一度行く:メーター・止水栓の場所の確認、保温、給湯器の水抜き手順の確認をまとめて済ませる
- 寒波の予報が出たら連絡する相手を決めておく:近所の方、親戚、管理を頼んでいる業者など
- 春先、最初に行ったときに漏水を確かめる:家じゅうの蛇口を閉めた状態で水道メーターを見て、小さな羽根のような「パイロット」が回っていれば、どこかで水が漏れている可能性があります
- 検針票や請求の金額を見る:誰も使っていないはずなのに使用量が増えていたら、漏水を疑います
見回りの頻度や頼み方は、遠方の実家、月1で通えないときの管理方法も参考にしてください。台風や地震への備えとあわせて考えるなら、台風・地震の前に、遠方の実家でやっておく備えも役に立ちます。
本記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、医療・法律・税務・不動産取引などの個別の判断に関する助言ではありません。制度・費用は地域や時期により異なります。実際のご判断は、自治体および各分野の専門家にご相談ください。