実家ノートJikka Note
見守り・介護準備

親の「もしも」に備えて元気なうちに聞いておくこと一覧

介護や入院は突然始まります。元気なうちに聞いておくと後で助かる「健康・お金・連絡先」の要点と、身構えさせない聞き方のコツをまとめました。

墓前に花を供える高齢の男性と付き添うスタッフ

元気な今だからこそ、聞いておける

親の介護や入院は、ある日突然始まります。そのとき慌てないために、元気なうちに「聞いておくと後で助かること」を家族で共有しておきましょう。改まって尋ねると身構えさせてしまうので、帰省時の雑談のなかで少しずつが基本です。

健康・医療のこと

  • かかりつけ医・持病・常用薬(お薬手帳の場所)
  • アレルギーや既往症
  • 延命治療などの希望(話せる範囲で)

お金・契約のこと

  • 年金・銀行口座・保険の「どこにあるか」(金額まで聞かなくてよい)
  • 公共料金や税の引き落とし口座
  • 加入している保険・共済

暮らし・連絡先のこと

  • 親しいご近所・親戚・友人の連絡先
  • お墓・菩提寺のこと
  • 大事な書類(通帳・印鑑・保険証・不動産)の保管場所
現場から一言:全部を一度に聞き出す必要はありません。「保管場所だけ」でも分かっていれば、いざというとき家族の負担は大きく変わります。まずは”ありか”から。

聞き方のコツ

「もしものときに困るから」より、「私が困らないように教えて」と自分主語で伝えると、親も応じやすくなります。エンディングノートを一緒に眺めるのもきっかけになります。

聞き出そうとせず、「一緒に書く」形にする

改まって質問すると、多くの親は身構えます。「財産を狙っているのか」と受け取られることさえあります。次の形にすると、進みやすくなります。

  • 自分の話から始める──「うちも保険を整理したんだけど、そっちはどうしてる?」
  • 防災の話にする──「災害のとき、持ち出す物ってどこにある?」
  • 手続きの話にする──「入院したとき、保険証がどこか分からないと困るから」
  • 一緒に書く──エンディングノートを2冊買って、自分の分も書く
  • 金額は聞かない──「どこにあるか」だけで十分です

最後の項目が大事です。「どこの銀行か」は必要ですが、「いくらあるか」は今は要りません。金額を聞くと、途端に警戒されます。場所さえ分かっていれば、必要になったときに手続きできます。

優先順位をつけて聞く

全部を一度に聞くのは無理です。無いと本当に困る順に並べました。

聞くこと 困る場面
1 かかりつけ医、持病、常用薬、アレルギー 救急搬送のとき。生死に関わります
2 保険証・診察券・お薬手帳の場所 入院手続き
3 銀行口座(どの銀行か)、通帳と印鑑の場所 入院費の支払い、公共料金
4 加入している保険(生命・医療・火災) 請求漏れが非常に多い
5 この家の名義、権利書の場所 売却・相続
6 緊急時に連絡してほしい人 親戚・友人への連絡
7 お墓と菩提寺 本人しか知らないことが多い
8 延命治療についての考え 家族が判断を迫られる場面

1と2は、今日にでも聞いておくべきことです。救急車を呼んだとき、これが分からないと医療の判断が遅れます。冷蔵庫に貼る1枚を作っておくのが確実です。→ かかりつけ医・お薬手帳・緊急連絡先を家族で共有する方法

デジタルのことも聞いておく

近年増えているのが、この問題です。本人しか知らないと、家族はどうにもできません。

  • スマートフォンのロック解除方法──これが分からないと、連絡先も写真も取り出せません
  • ネットバンキング、ネット証券の口座──通帳がないので、存在に気づけません
  • 有料のサービス(動画配信、通信、アプリ)──亡くなった後も引き落とされ続けます
  • メールアドレスとパスワードの保管場所──紙でよいので、どこにあるかだけ
  • SNSのアカウント

特にスマートフォンのロックは深刻です。解除できないと、中の情報は事実上取り出せません。「もしものときに開けられるようにしておいて」と、紙に書いて保管してもらってください。

聞いたことは、記録して共有する

  1. 聞いたその日にメモする──覚えていられません
  2. きょうだい全員に共有する──1人だけが知っている状態にしない
  3. 写真で残す──保険証券や通帳の表紙を撮っておくだけでも違います
  4. 年に1回、更新する──保険も病院も、思ったより変わります

2番目は、後で疑われないためにも重要です。お金に関わる情報を1人が抱えると、それだけで不信の種になります。→ きょうだいで介護の分担をどう決める?

エンディングノートと遺言書は別物

エンディングノート 遺言書
法的効力 なし あり(形式を満たせば)
書き方 自由 民法の定める方式に従う必要がある
内容 希望、情報、思い 財産の分け方
使いどころ 家族が困らないための情報整理 相続の指定

まずはエンディングノートで構いません。財産の分け方に希望があるなら、遺言書が必要です。自筆証書遺言は法務局で保管する制度があり、これを使うと検認が不要になります。

よくある質問

Q. 「縁起でもない」と嫌がられます
災害への備えとして持ちかけると、受け入れられやすくなります。「地震のとき、どこに何があるか分からないと困る」という切り口です。

Q. どこまで聞いてよいのか分かりません
「金額」は聞かず、「場所」だけを聞く。この線引きで進めてください。必要になったときに探せれば、それで足ります。

Q. すでに認知症が始まっています
聞ける範囲で聞き、あとは制度で備えてください。→ 親の預貯金の管理、認知症に備える

Q. 実家をどうするかも話したいのですが
実家じまい(住まいの終活)、元気なうちに家族で話すこと

介護や制度の相談は、お住まいの地域の地域包括支援センターへ。まず何から、を無料で相談できます。

実際に動くときの相談先

記事を読んで「うちの場合はどうするか」まで進むと、次は実務の相談先が必要になります。実家ノートを運営しているエムズグループでは、愛知・岐阜・三重で次のサービスを行っています。

  • エムズ高齢者サポート ── 名古屋市とその周辺で、見守り・通院の付き添い・買い物・書類の整理などを、月額会員制で継続してお手伝い
  • 便利屋エムズ ── 家財の片づけ、不用品の搬出、家具の移動など、作業ごとのご依頼

どちらに頼めばよいか決まっていない段階でも構いません。エムズグループの相談窓口で内容を伺い、担当をご案内します。

本記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、医療・法律・税務・不動産取引などの個別の判断に関する助言ではありません。制度・費用は地域や時期により異なります。実際のご判断は、自治体および各分野の専門家にご相談ください。