かかりつけ医・お薬手帳・緊急連絡先を家族で共有する方法
親が急に倒れたとき「かかりつけ医は?薬は?」で慌てないために。かかりつけ医・薬・保険証・緊急連絡先を家族で共有する方法を、実務目線でまとめました。

「いざ」というときに困らない情報を、家族で共有
親が急に倒れたとき、家族が「かかりつけ医は?飲んでいる薬は?」で慌てることは少なくありません。救急や入院の場面でも役立つ情報を、あらかじめまとめて共有しておきましょう。
共有しておきたい情報
- かかりつけ医・病院名・診察券の場所
- 持病・アレルギー・飲んでいる薬(お薬手帳)
- 健康保険証・マイナ保険証の場所
- 緊急連絡先(家族・親戚・ご近所)
共有のしかた
- 紙に書いて冷蔵庫や電話のそばなど分かる場所に貼る
- 家族のスマホでも写真で共有しておく
- お薬手帳は1冊にまとめる(複数だと把握しづらい)
1枚にまとめる「緊急時シート」
情報が家のあちこちに散らばっていると、いざというときに探せません。A4の紙1枚にまとめて、決まった場所に貼るのがいちばん確実です。書く項目はこれで足ります。
| 項目 | 書く内容 |
|---|---|
| 本人 | 氏名、生年月日、血液型 |
| かかりつけ医 | 病院名、診療科、電話番号、担当医 |
| 持病 | 診断名と、いつから |
| アレルギー | 薬・食物。無ければ「なし」と書く |
| 飲んでいる薬 | 「お薬手帳は◯◯にあります」でも可 |
| 保険証 | 種類と保管場所 |
| 家族の連絡先 | 氏名、続柄、携帯番号(2人以上) |
| 近所の方 | 頼れる方の氏名と連絡先 |
| 介護 | 要介護度、ケアマネジャーの名前と連絡先 |
「アレルギーなし」も、書いてあることに意味があります。空欄だと「確認していない」のか「無い」のかが分かりません。
置き場所は、救急隊が探す場所に
救急隊が家に入って最初に見るのは、玄関、居間、冷蔵庫のドアです。ここに貼っておけば見つかります。
- 冷蔵庫のドア──最も定番。マグネットで留める
- 電話機のそば──本人が救急に電話するときにも使える
- 玄関のドアの内側
- 寝室の枕元──夜間に倒れる場合に備えて
自治体によっては「救急医療情報キット」を無料で配っています。専用の筒に情報を入れて冷蔵庫に保管し、玄関と冷蔵庫にシールを貼る、という仕組みです。地域包括支援センターか市区町村の高齢福祉窓口で聞いてみてください。
家族側にも同じものを持つ
実家に貼ってあっても、遠方の家族の手元になければ意味がありません。
- シートを写真に撮って、スマートフォンに保存
- きょうだい全員に共有──グループチャットに送っておく
- お薬手帳も、更新のたびに写真を撮る
- 年に1回、内容を見直す──薬も病院も、思ったより変わります
4番目を決めておかないと、古い情報のまま何年も経ちます。「正月に帰ったときに更新する」など、時期を固定してください。
お薬手帳は1冊にまとめる
複数の病院にかかっていると、手帳が病院ごとに分かれてしまうことがあります。これは危険です。飲み合わせの確認ができなくなります。
- 手帳は1冊に統一する。薬局で「まとめたい」と伝えれば対応してもらえます
- 市販薬やサプリメントも、飲んでいるなら記入してもらう
- 電子版のお薬手帳(アプリ)も使えます。家族と共有できるものもあります
- マイナ保険証を使うと、医療機関で薬の情報を確認してもらえる仕組みもあります
飲み残しが大量にある場合は、飲めていない可能性があります。→ 親の薬の飲み忘れが心配…離れていてもできる服薬の見守りと工夫
マイナ保険証の「利用登録」も済ませておく ── マイナ救急
紙のシートと並べて、いま用意しておきたいのが、マイナンバーカードを健康保険証として使えるようにしておくことです。
総務省消防庁の案内によると、令和7年10月1日から全国で「マイナ救急」が始まっています。救急隊がマイナ保険証を読み取り、その場で次の情報を確認できる仕組みです。
- 過去5年分の受診歴・薬剤情報・手術情報・診療情報
- 40歳以上の特定健康診査の結果
必要なのは2つだけです。マイナンバーカードを持っていることと、健康保険証としての利用登録が済んでいること。読み取りのときの暗証番号は原則いらず、顔とカードの写真の照合で確認されます。
閲覧は本人の同意が原則です。ただし意識がなくて同意を取れない場合は、生命や身体を守る必要があれば、同意なしで閲覧されることがあると説明されています。いちばん困る場面のために用意されている仕組み、ということです。
気をつけたいのは、これがあれば紙のシートが要らなくなるわけではないことです。出てくるのは医療保険の記録にもとづく情報なので、市販薬やサプリメント、記録より古い手術、医療機関にかかっていないアレルギーは分かりません。かかりつけ医の担当医名、家族の連絡先、ケアマネジャーの連絡先も出てきません。
そこで「薬と受診歴は仕組みに任せ、それ以外を紙に書く」と分けて考えると、シートに書く内容もすっきりします。親のカードの利用登録が済んでいるかどうかは、帰省したときに一度見ておいてください。
あわせて決めておきたいこと
元気なうちにしか聞けないことがあります。緊急連絡先と一緒に、次のことも話しておけると、いざというときの判断が楽になります。
- 延命治療についての本人の考え
- 入院時に連絡してほしい人の順番
- 加入している保険と、証券の保管場所
- 預貯金・年金の口座
重い話に聞こえますが、「もしものときに困らないように」と切り出せば、多くの親は応じてくれます。→ 親の「もしも」に備えて元気なうちに聞いておくこと一覧
よくある質問
Q. 親が書きたがりません
「縁起でもない」と嫌がられることがあります。防災の準備として持ちかける、あるいは自分の分も一緒に作る、という形にすると受け入れられやすくなります。
Q. 個人情報が心配です
玄関の外や、外から見える場所には貼らないでください。冷蔵庫のドアなら、家に入った人しか見えません。
Q. 介護サービスを使っていない場合は
ケアマネジャーの欄は空欄で構いません。代わりに、地域包括支援センターの連絡先を書いておくと役立ちます。→ 地域包括支援センターとは?
Q. 入院になったら、何を持っていけばよいですか
→ 親の入院時に家族がやること・持っていくもの
実際に動くときの相談先
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本記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、医療・法律・税務・不動産取引などの個別の判断に関する助言ではありません。制度・費用は地域や時期により異なります。実際のご判断は、自治体および各分野の専門家にご相談ください。