空き家になった実家、まず何をする?はじめの手順
親が施設に入った、あるいは実家を相続した。人が住まなくなった家を前にすると、「何から手をつければいいのか」で立ち止まってしまう方がとても多いです。売る・貸すといった大きな決断の前に、まずやっておきたいことを順番に整理します。

大きな決断は、あとで大丈夫
最初にお伝えしたいのは、「売るか・貸すか・解体するか」を今すぐ決めなくていい、ということです。焦って決めて後悔する方を、現場では何度も見てきました。まずは家を傷ませないことと判断に必要な情報をそろえること。この二つに絞ると、ぐっと動きやすくなります。
住まなくなったら、早めにやっておきたい5つのこと
1. 郵便物を止める・転送する
郵便受けにたまった郵便物は、「留守の家」であることを外から知らせるサインになり、防犯上のリスクになります。郵便局の転送サービスを利用するか、定期的に回収する段取りを決めましょう。
2. ライフラインをどうするか決める
電気・ガス・水道を止めるか、残すか。完全に使わないなら停止で費用を抑えられますが、通風や掃除のために時々通うなら、電気と水道は残しておくと便利です。冬場に水道を止める場合は、凍結による破裂を防ぐ「水抜き」が必要な地域もあります。
3. 月1回でも「風を通す」
誰も住まない家がいちばん傷むのは、湿気とカビです。月に一度でも窓を開けて風を通し、水道を少し流すだけで、家の劣化はかなり抑えられます。遠方で通えない場合は、後述の管理サービスという選択肢もあります。
4. 火災保険の内容を確認する
空き家になると、火災保険の扱いが変わることがあります。契約内容によっては補償されない、または別の契約が必要になる場合があるため、保険会社に「空き家になった」ことを伝えて確認しておくと安心です。
5. 貴重品と重要書類を探しておく
権利証(登記識別情報)、預金通帳、保険証券、実印などは、後の手続きで必ず必要になります。家が片付いているうちに、どこに何があるかだけでも把握しておきましょう。
そのうえで、「これからどうするか」を考える
家を守れる状態にできたら、次の選択肢を落ち着いて比べられます。
- 住む・使う:家族の誰かが住む、セカンドハウスにする
- 貸す:賃貸に出す(リフォーム費用と需要の見極めが必要)
- 売る:そのまま、または解体して土地として売る
- 管理しながら保留:すぐ決められないので、当面は管理して維持する
どれが正解かは、家の状態・立地・家族の状況で変わります。複数の不動産会社に査定を頼む、自治体の空き家相談窓口を使うなど、情報を集めてから決めれば十分です。
時期ごとの「やること表」
やることを一度に並べると多く見えます。時期で区切ると、今やるべきことがはっきりします。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 1週間以内 | 冷蔵庫と生ごみの処分/火の元・戸締まりの確認/郵便の対応/近所へ一報と連絡先を渡す |
| 1か月以内 | ライフラインの方針を決める/火災保険を保険会社に連絡/貴重品と重要書類を確保/固定資産税の納税通知書を探す |
| 3か月以内 | 登記事項証明書を取り、名義を確認/草木の手入れの予定を組む/管理の頻度と方法を決める |
| 1年以内 | 相続登記/家財の整理/貸す・売る・解体の方向性を家族で話す |
| 継続 | 2〜3か月に1回の通風・通水/年2〜3回の草刈り/台風の前後の点検 |
「1週間以内」の中でも、いちばん急ぐのは冷蔵庫です。真夏に数週間放置すると、冷蔵庫ごと処分が必要になることがあります。→ 親の入院・入所で家が空く前にやっておくこと
放置すると、どう傷むか
| 期間 | 起きること |
|---|---|
| 2〜3か月 | 排水の封水が蒸発し、下水のにおいと虫が上がる。押し入れにカビ。夏は草が膝丈に |
| 半年 | 空き家臭が定着。庭が荒れ、外から放置が分かる |
| 1年 | 雨漏りに気づかず被害が拡大。不法投棄、近隣からの苦情 |
| 数年 | シロアリ、木部の腐食。修繕費が桁違いに。貸すことも売ることも難しくなる |
傷みが進むほど、選べる道が減ります。「決められないから放置」を続けると、数年後には「解体しか選べない」状態になります。判断は先送りしてよいのですが、管理だけは先送りにしないでください。
判断のために、先に集めておく情報
- 固定資産税の納税通知書──地番、家屋番号、面積、評価額、年間の税額。毎年春に届きます
- 登記事項証明書──名義は誰か、抵当権が残っていないか。法務局で誰でも取れます
- 売却の査定額──地元の不動産会社2〜3社に。無料です
- 解体費用の見積り──残置物と外構を含めて
- 年間の維持費──固定資産税+火災保険+管理費+交通費
この5つがそろえば、家族で話し合うときに具体的な数字が出せます。数字がないまま話しても、堂々巡りになります。
とくに名義の確認は早めに。祖父母のままだと、相続人が増え続けます。→ 相続した実家の名義変更(相続登記の義務化)何から?/実家の権利証・登記簿が見つからないときの調べ方
訪問1回でやることリスト
- 通水──台所、洗面、風呂、トイレ、屋外の水栓を30秒ずつ。最優先
- 換気──対角線の窓2か所、部屋の扉と押し入れも開放。30分以上
- 郵便物の回収
- 天井と壁のしみを確認──押し入れの天井板は特に
- 外を一周して写真を撮る──雨どい、屋根、外壁、塀
- 草の状態を確認──次の草刈りの時期を決める
- 戸締まり、ブレーカー、水道の元栓
これだけは避けたいこと
- 近所に何も伝えないまま空き家にする──苦情が来るまで、誰も教えてくれません
- 火災保険の連絡を怠る──いざというとき支払われないことがあります
- 相続放棄を考えているのに、遺品を持ち出す──承認したとみなされることがあります
- 期限を決めずに保留する──5年後も同じ状態です
- 「特定空家等」「管理不全空家等」に指定される──固定資産税の優遇が外れる可能性があります
→ 空き家の火災保険、入れる?必要な補償は/実家が空き家に…固定資産税はどうなる?/実家の近所付き合い、親が施設に入った後どうする
よくある質問
Q. 何から手を付ければよいか分かりません
冷蔵庫と郵便物です。この2つは、今日決めても明日できます。大きな判断は、そのあとで構いません。
Q. 遠方で、通うのが難しいです
2〜3か月に1回でも人が入れば、多くは防げます。それも難しければ、管理を外に出す方法があります。→ 空き家管理を業者に頼むといくら?
Q. きょうだいと意見が合いません
まず情報を集めて共有してください。数字が出ると、話が具体的になります。→ 実家を「貸す・売る・解体」どれ?判断の考え方
Q. 家財が大量に残っています
急がなくて構いません。ただし、傷むもの(食品、布団)と危険なもの(灯油、薬)から先に。→ 空き家の家財、まとめて残すか処分するか
実際に動くときの相談先
記事を読んで「うちの場合はどうするか」まで進むと、次は実務の相談先が必要になります。実家ノートを運営しているエムズグループでは、愛知・岐阜・三重で次のサービスを行っています。
どちらに頼めばよいか決まっていない段階でも構いません。エムズグループの相談窓口で内容を伺い、担当をご案内します。
本記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、医療・法律・税務・不動産取引などの個別の判断に関する助言ではありません。制度・費用は地域や時期により異なります。実際のご判断は、自治体および各分野の専門家にご相談ください。